「痛風の初期症状はどんな痛み？」

「初期症状が治まったらもう大丈夫？」

痛風の初期症状には、関節部分の激しい痛みや腫れなどが見られます。痛風は、生活習慣の影響を受けやすい病気です。30代以上の男性に多く見られる病気で、近年では20代の発症率が急増しています。

痛風の初期症状は、前触れもなく突然激痛に襲われます。そのため、いざ痛風を発症したときに、どう対処すれば良いのかと焦ってしまう人も多いでしょう。

そこでこの記事では、痛風の初期症状や発症時の対処法についてご紹介します。痛風になりやすい人の特徴や食事との関係性についても解説しているので、参考にしてください。

痛風の初期症状

痛風の主な初期症状は、関節の激しい痛みや患部の腫れ、発熱です。発症する箇所として最も多いのは、足の親指の付け根です。ただし、足の甲や足首、ひざなどに発症するケースもあります。

痛風は、結晶化してしまった尿酸が関節につくことで突然発症します。「風が吹くだけで痛い」という意味で「痛風」といわれているように、発作時には仕事に手が付かないほどの激痛があります。

痛みのピークは24時間以内に治まりますが、その後も患部が熱を持って赤く腫れ上がります。痛みが続くのは、数日から1週間ほどです。症状は次第に緩和していき、発症から10日ほどで自然に軽快することが多いです。

痛風の初期症状の発作で痛くなりやすい箇所

痛風が最も発症しやすいのは、足の親指の付け根です。一般的に、一度の発症で痛むのは1ヶ所だけです。体の複数箇所が同時に痛むことは滅多にありません。

痛風の発作は、正確には「痛風関節炎」といいます。血流が悪く、体温が低くなりやすい手や足の関節部分で発症することがほとんどです。

初期症状が治まったあとも治療をしていなければ再発する

痛風は、初期症状が治まったあとも治療をしていなければ再発します。痛みや腫れが引いても、痛風の原因となる尿酸値が高い状態が改善されたわけではないからです。

痛風が進行すると、発作の頻度が増して重症化していきます。腫れが引かず関節が変形したり、腎不全や尿路結石のような合併症を引き起こすリスクが高まります。

痛風の重症化を防ぐためにも、初期症状が出た時点で適切な治療を受けるべきです。

痛風の初期症状が出たときの対処法

痛風の初期症状が出たときは、痛みが治まるまでできるだけ患部を動かさないように安静にしましょう。患部を無理に動かしてしまうと、症状の悪化につながります。

痛風時は、患部を心臓より高いところで固定したり、冷やしたりするのが効果的です。患部への血液の流れを抑えることで、症状を和らげる効果が期待できます。

患部を温めたり、マッサージをしたりするのは逆効果です。血流が良くなることで、さらに痛みが広がる恐れがあります。

痛風の初期症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診して治療を受けましょう。オンライン診療に対応しているエミシアクリニックなら、自宅から手軽に医師の診察を受けられます。

▶痛風発作を早く治す方法とは？

そもそも痛風とは

痛風とは、血液中に溶けきれなかった尿酸が、結晶化して関節部分に沈着することで発症する病気です。白血球が結晶化した尿酸を排除しようとすることで炎症が起こり、激しい痛みを引き起こします。

痛風は、尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態を指す「高尿酸血症」が主な原因です。通常、体内の尿酸は、産生と排泄のバランスを保ちながら一定に保たれています。

しかし、何らかの原因で過剰に作られたり、排泄量が少なくなったりすることで、基準値を超える尿酸が体内に残ってしまいます。排泄しきれなくなった尿酸が関節に留まることで、痛風発作を起こします。

痛風になりやすい人の特徴

痛風になりやすい人の特徴をまとめました。痛風は、生活習慣やストレス、遺伝子などの要因で発症するリスクが高まることが明らかになっています。

中でも、食生活を中心とした生活習慣の乱れによって、痛風を発症する人が多いです。プリン体の摂りすぎや過度な飲酒、早食い・大食いなどは、痛風の原因となる尿酸値の上昇を促します。

日頃からストレスを抱えているという人も、痛風になりやすいです。ストレスによって心身の緊張状態が続くことで、尿酸の産生量の増加や排泄力が低下する恐れがあります。

また、近年の研究により、遺伝的要因によって痛風の発症率が高まることが明らかになりました。実際に、東京大学医学部附属病院の研究では、痛風の発症リスクを高める病因遺伝子の存在が確認されています。

痛風と食事の関係

プリン体の摂りすぎは痛風のリスクを高める

プリン体の摂りすぎは痛風のリスクを高めます。

プリン体は、いわゆる「うまみ成分」の一種で、さまざまな食べ物に含まれています。本来は、人体にとって重要な役割を果たす成分ですが、過剰摂取すると通風の原因になります。

プリン体は分解されると「尿酸」という物質になります。尿酸の量が多くなってきちんと排出できない状態になると、体内の尿酸値が上がり、通風を発症しやすくなってしまいます。

プリン体はもともと体内でも生成される成分なので、食事で摂りすぎてしまうのは避けましょう。

プリン体が多く含まれる食品一覧

極めて多い (300mg～)	鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ・ふぐ・たら)、 あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、 健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、 クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など
多い (200～300mg)	豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、 大正エビ、オキアミ、干物(マアジ・サンマ)など
中程度 (100～200mg)	肉(豚・牛・鶏)類の多くの部位や魚類など ほうれんそう(芽)、ブロッコリースプラウト
少ない (50～100mg)	肉類の一部(豚・牛・羊)、魚類の一部、加工肉類など ほうれんそう(葉)、カリフラワー
極めて少ない (～50mg)	野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、 豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など

※100gあたりのプリン体含有量を掲載
出典：高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

プリン体が多く含まれる食品として代表的なのは、レバーや白子、魚介類です。健康食品やサプリに含まれるDNAやRNA、ビール酵母などにもプリン体が多く含まれています。

尿酸値が気になる方は、プリン体が少ない野菜や豆・きのこ類を多く摂取するようにして、バランスの良い食事を心がけましょう。

また、痛風と食事の関係について、ビールや焼酎などのアルコール飲料が話題に挙げられますが、飲酒によるプリン体の影響は少ないです。

詳しくは、後述する「アルコールは尿酸値を上昇させる働きがある」をご覧ください。

プリン体は調理法によって摂取量を抑えられる

プリン体は、茹でる・煮る・蒸すといった調理法が有効です。

プリン体には、水に溶けやすい性質があります。そのため、茹でたり煮たりすることで食材からプリン体が溶け出し、摂取量をカットできます。

ただし、鍋料理や煮物などは煮汁にプリン体が溶け込んでいます。プリン体の摂取を抑えるのであれば、煮汁を口にしないようにすべきです。

アルコールは尿酸値を上昇させる働きがある

参考：日本痛風・尿酸核酸学会

アルコールは、プリン体の有無に関わらず尿酸値を上昇させる働きがあります。

日本痛風・尿酸核酸学会の研究によると、飲酒習慣のある人は飲まない人に比べて、痛風の発症リスクが1.16～2.64倍高いです。

飲酒習慣のある方は、飲酒量を減らしたり1週間にお酒を飲む回数を少なくして、尿酸値の上昇を抑えましょう。

痛風にはアルカリ性の食品が有効

痛風の際は、アルカリ性の食品を多く取り入れるのが効果的です。アルカリ性の食品を摂取することで、尿酸を中和させて結晶化を防ぐ効果が期待できます。

ただし、アルカリ性食品の中でも、果物や芋類には糖質を多く含みます。食べ過ぎはかえって尿酸値を上昇させる原因となるため、注意しましょう。

痛風の対策と予防法

プリン体を摂りすぎない

痛風の対策では、プリン体を摂りすぎないように意識することが重要です。プリン体を過剰摂取してしまうと、体内で作られる尿酸が増えて痛風のリスクを引き上げます。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、プリン体の1日の摂取量を400mg程度に抑えることを推奨しています。

尿酸値が気になる方は、レバー類や白子、魚介類など、プリン体を多く含む食材をなるべく控えるようにしましょう。

アルコールを控える

痛風の対策として有効なのが、アルコールを控えることです。アルコールには、尿酸値を高める効果があります。

ビールや紹興酒など、プリン体を多く含むアルコール飲料も多いため、過度な飲酒は危険です。尿酸値が高く、習慣的にお酒を飲んでいるという方は、週に2日以上禁酒して休肝日を設けましょう。

出典：高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

糖質・脂質を減らす

糖質・脂質を減らすことも、痛風の対策・予防に効果的です。

糖質・脂質の摂りすぎは、肥満に繋がる要因の1つです。肥満になることで、体内で作られる尿酸が増えて排泄量も同時に低下すると言われています。

中でも、果物や砂糖に含まれる果糖は中性脂肪を作る働きが強く、尿酸値を速やかに上昇させる効果があります。プリン体やアルコールと共に、糖質・脂質の摂りすぎには注意しましょう。

▼果物の1日の摂取量目安(タップで開閉)

• バナナ	2本
  いちご	12粒
  グレープフルーツ	1個
  梨	1個
  みかん	2個
  キウイフルーツ	2個
  りんご	1個
  ぶどう	1房
  柿	2個

  出典：厚生労働省

水分補給をこまめにする

痛風に効果的な対策として、水分補給をこまめにすることが挙げられます。利尿作用によって尿酸の排泄を促進させることで、尿酸値を下げる効果が期待できます。

ただし、糖分が多く含まれるジュースや加工飲料は、水分補給に適していません。水やお茶を中心に、毎日2リットル以上の水分補給を意識しましょう。

摂取カロリーを抑える

摂取カロリーを抑えることも、痛風の対策に繋がります。過食やプリン体の過剰摂取によって、尿酸値を上昇させる恐れがあるためです。

また、カロリーの摂りすぎは肥満の原因にもなります。適正カロリーを守って、規則正しい食事を心掛けましょう。

なお、1日に摂取する適正カロリーは、身長や体重によって異なります。分からない場合は、直接医師に相談するのがおすすめです。

適度な有酸素運動に取り組む

痛風の対策・予防では、適度な有酸素運動に取り組むことが効果的です。体内の糖質や体脂肪が消費され、尿酸値を下げる効果が期待できます。

ただし、筋力トレーニングや短距離走などの無酸素運動は、尿酸値を上昇させる効果があるため逆効果です。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を、脈が少し速くなる程度で1回10分以上、1日30～60分取り組むことを推奨しています。

ストレスをため込まない

ストレスをため込まないことも、痛風の予防法の1つです。名古屋大学の研究によると、ストレスが痛風の原因となる高尿酸血症を促進することが明らかになっています。

趣味に没頭したり睡眠をしっかり取るなどをして、普段からストレスをため込まない生活を意識しましょう。

痛風の治療方法

痛風の治療方法は、大きく2つに分けられます。「痛風発作を抑える治療」と「尿酸値の改善を図る治療」です。以下では、それぞれの治療方法について詳しく解説していきます。

痛風発作を抑える治療

痛風発作を抑える治療は、症状の痛みや腫れの原因である炎症を抑えることが目的です。発作が起きた段階で鎮痛薬や発作を抑える薬を使用して、症状の悪化を防ぎます。

なお、痛風発作が出た場合、尿酸値を下げる薬は使われません。発作が起きた段階で使用すると、血液中の尿酸を追い出そうとする効果で関節内の結晶化が進んでしまい、症状が長引く可能性があるからです。

出典：高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

尿酸値を下げる治療

尿酸値を下げる治療は、高尿酸血症の改善が目的です。生活習慣の改善や投薬治療を実施して、尿酸値の低下を図ります。

尿酸値を下げるのに用いられる医療薬は「尿酸の生成を抑える薬」「尿酸の排泄を促進させる薬」「尿酸をさらに分解して体外に排泄させる薬」の3つです。

高尿酸血症の改善には、尿酸値が6.0mg/dl以下の状態を最低でも5年以上保つ必要があります。

出典：高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

痛風は合併症を誘発する可能性がある

慢性腎不全

慢性腎不全は、老廃物を排泄する腎臓の働きが、数か月から数年にかけて低下していく病気です。腎臓の働きが、正常の30％以下に低下した状態を指します。(参考：国立循環器病研究センター)

排泄しきれなかった尿酸が結晶化して腎臓に蓄積することで、腎機能が低下してしまいます。それによって尿酸の排泄機能がさらに低下するため、尿酸値を改善することが難しくなり痛風の発症リスクも高まります。

尿路結石

尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気です。結石が尿路に引っかかることで、腰部や背部の激痛、血尿などの症状を引き起こします。

高尿酸血症の場合、尿中の尿酸濃度が高いことで溶けきれなかった尿酸が結石となります。尿路結石は、痛風患者の10～20%が併発すると言われています。

痛風結節

痛風結節は、関節周囲の皮下組織に尿酸が沈着して、炎症によって患部がコブのように腫れ上がる病気です。指や手、足、アキレス腱などに発症するケースが多いです。

痛風結節は、発作と違い痛みが生じることは少ないです。しかし、治療しないままでいると関節の自由が利かなくなったり、患部の痛風結節が破裂することで関節が変形したりする恐れがあります。

痛風の可能性がある人はなるべく早く診療を受けるのがおすすめ

関節部分に激しい痛みや腫れを感じて痛風の可能性がある場合は、なるべく早く診療を受けるのがおすすめです。痛風は、原因となる尿酸値を改善しない限り再発してしまう病気です。

また、尿酸値が高い状態のまま放置してしまうと、慢性腎不全や尿路結石などの合併症のほか、重大な病気に発展する恐れがあります。

もし痛風ではなかったとしても、食生活や運動習慣などの観点から、予防に繋がるアドバイスを医者からもらえます。

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出典：エミシアクリニック

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処方薬の種類	【尿酸値治療薬】 ・アロプリノール錠 100mg ・ベンズブロマロン錠 100mg 【痛み止め】 ・コルヒチン錠 0.5mg ・プレドニゾロン錠 1mg
診察料	無料
診察方法	ビデオ通話
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痛風に関するよくある質問

まとめ

痛風の初期症状は、突発的に起こる関節部分の激痛や患部の腫れ、発熱です。症状は数日から1週間続き、発症から10日ほどで自然に軽快する場合が多いです。

痛風は初期症状が治まっても、治療しなければ再発します。重大な病気を患うリスクも考えられるため、初期症状が出た時点で適切な治療を受けるべきです。

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